à la lettre

ラカン派精神分析・精神病理学に関するいろいろ

『ファンタスムの論理』試訳

読書会@駒場のための試訳を公開します。『ファンタスムの論理』の第六講前半部分です。 La Logique du Fantasme, Editions de l'Association Lacanienne Internationale, pp.109-114.p.109 前回は、私がたくさんの小さな試練を耐えることができるということ…

セミネールXI巻 訂正案

ジャック・ラカン 精神分析の四基本概念posted with amazlet at 12.01.13ジャック ラカン 岩波書店 売り上げランキング: 282501Amazon.co.jp で詳細を見る読書会@専大での指摘のまとめ。 セミネールXI巻の邦訳の訂正箇所を載せていきます。*1(随時更新) I…

『R.S.I.』からのメモ

エディプス・コンプレックスという心的現実が、サンボリック、イマジネール、レエルの三つの輪をつなぎとめる新たな結び方として提示される箇所からの抜き書き。訳は適当。 四項を持つこと、これはフロイト自身は出来なかったことですが、分析において問題に…

最近の刊行物まとめ

ところで、最近、精神病理/ラカン関係の著作物が続々と刊行されているので、気がついたものだけ整理しておきます。 精神病理学の蒼穹posted with amazlet at 12.01.13小出 浩之 金剛出版 売り上げランキング: 851284Amazon.co.jp で詳細を見る セミネール他…

グリージンガーへの回帰?

DSM-V(2011年に発表が予定されている「精神障害の診断と統計の手引き」)が凄いことになっている。「精神病を脱構築する[Deconstructing Psychosis]」というDSM-V改定のための中間報告が出ており、そこでは統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害、ならびに…

Formations, pp.158-159

某所の読書会用に作成した試訳です。何かのご参考にどうぞ。 事後に訂正と注の付けたしをしました。(4/14)Les formations de l'inconscient, pp.158-159 Bien entendu, il y a tout un stock, tout le bagage des images. Ouvrez pour le savoir les livres …

AMPのサイトで読める仏語分析論文のまとめ #1

AMP(http://www.wapol.org/index.html)のサイトから辿っていく方法では見つけられない論文が結構あるようなので、C#.NETでスクリプトを組んであさってみました。 スペイン語の文献は除いてあります*1が、適当に作ったので不具合などあるかもしれません。 順…

AMPのサイトで読める仏語分析論文のまとめ #2

195:Jacques-Alain Miller "Vers un signifiant nouveau [1]Le dispositif de la passe" 1132:Jacques-Alain Miller, Edwy Plenel "Combat contre le cognitivisme, par Jacques-Alain Miller" 503:Jean Birnbaum "La psychanalyse travaille sa defense" 90…

AMPのサイトで読める仏語分析論文のまとめ #3

743: "La Cause freudienne - Citoyen Simptôme" 1200: "La Cause freudienne - Notre sujet supposé savoir" 557: "La Cause freudienne N° 65" 480: "La Cause freudienne n°64" 1036: "La lettre en ligne n° 40" 1134: "La lettre en ligne N° 43" 1155:…

Formations, pp.156-157

某所の読書会用に作成した試訳です。何かのご参考にどうぞ。Les formations de l'inconscient, pp.156-1573Je vais maintenant vous mettre au tableau le petit schema par lequel j'introduirai ce que je vous dirai la prochaine fois, et qui nous perm…

ラカンのエディプス・コンプレックス論 (2) 抑鬱ポジションとフリュストラシオン

「フリュストラシオン」について考察している箇所です。こちらからPDFの完全版がご覧になれます。 クラインはごく初期から前エディプス期への興味を持っていた。クラインはフロイトのように自由連想と夢の解釈を行うだけではなく、自由に話すことのままなら…

ラカンのエディプス・コンプレックス論 (1)エディプスから前エディプスへ

こちらからPDFの完全版がご覧になれます。 1897年10月15日、エディプス・コンプレックスを発見したフロイトは友人ヴィルヘルム・フリースに宛てて、やや興奮気味に次のような手紙を書き送っている。 僕は母親への惚れ込みと父親への嫉妬を僕の場合にも見つけ…

セミネール5巻のレフェランス

文献リンクをいくつか。ラカンが『無意識の形成物』のセミネールで参照している論文のうち、オンラインで参照できるものを以下にリンクしておきます。 Horney, K. (1924). On the Genesis of the Castration Complex in Women. Int. J. Psycho-Anal., 5:50-6…

La Cause FreudienneとQuatroのCD-ROM

"La Cause freudienne"のn°1〜n°55、"Quarto"のn°1〜n°80/81までの集成CD-ROMが昨年末に発売されているようです。再販に同意しなかった人の論文は収録されていないようです。ECFの図書館とwww.ecf-echoppe.orgで独占販売とのことです。 日本まで送料込みで12…

ディラン・エヴァンス紹介

An Introductory Dictionary of Lacanian Psychoanalysis作者: Dylan Evans出版社/メーカー: Routledge発売日: 1996/05/02メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (1件) を見るディラン・エヴァンスは1966年イギリスの生まれ…

フィンクの臨床論を読む(2)

引き続き、ブルース・フィンク『臨床ラカン派精神分析入門[A Clinical Introduction To Lacanian Psychoanalysis]』*1から。前回取り上げた「欲望」について議論される第5章を参考に論じていきましょう。 精神分析はどのような意味で「親離れ」であるか 「親…

フィンクの臨床論を読む(1)

以前にもご紹介したBruce Finkによるラカン派の臨床についての著作は、id:rothko様たちのグループの手によって、すでに翻訳が完了しているとのことです(2008年6月誠信書房より刊行)。本書の邦訳の刊行は、日本ではあまり知られていない「ラカン派の臨床」…

カトリーヌ・クレマン『フロイト伝』

フロイト伝作者: カトリーヌクレマン,Catherine Cl´ement,吉田加南子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2007/10メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (3件) を見る 訳者は詩人の吉田加南子さん、解説は十川幸司さんです。 十川さんの解説による…

この秋、気になるイベントが目白押しです

ジル・ドゥルーズと音楽 Date:2007年10月23日(火) 18:00〜20:00 Place:東京大学駒場キャンパス18号館4階 コラボレーションルーム4 [地図]リシャール・ピナス氏は作曲家、ギタリストにして、フランスの実験音楽を代表する音楽家の一人。彼はジャン=フ…

ジジェク「欲望:欲動=真理:知」の試訳をアップしました

⇒ スラヴォイ・ジジェク「欲望:欲動=真理:知」 「解釈」と「構成」を軸にしたジジェク流のチャート式臨床論と、ハイデガーの『技術論』を絡めて論じており、なかなか読ませます。最後はジジェクらしい下世話な小話がついていて、楽しめるかと思います。 …

転移に関する発言

Lacan, J. Intervention sur le transfert, 1951一九五一年、通称ロマンス語圏精神分析会議で口述された*1 [E215]ここではまだ、主体という用語に耳をなじませている段階である。私たちに〔この発言の〕機会を与えてくれた人物の名前は伏せておくが、そうす…

神経症者の個人的神話——あるいは、神経症における詩と真実

Lacan, J., Le mythe individuel du névrosé: ou poésie et vérité dans la névrose. Seuil, 2007. 神経症者の個人的神話——あるいは、神経症における詩と真実 [11]私はみなさんに、新しいと言わざるを得ない、それだけに難しい主題についてお話したいと思い…

ミレール「文脈と概念」の試訳を公開しました

ミレール「文脈と概念」の抄訳を公開しました。もともとは英語版セミネールXIの序文であり、後に「Reading Seminar XI」に収録されたテクストです。 Reading Seminar XI: Lacan's Four Fundamental Concepts of Psychoanalysis : Including the First Englis…

エルンスト・クリスの症例とラカンのアクティング・アウト論(3)

ラカンによるクリスへの言及 ここまで二回にわたってエルンスト・クリスの論文「自我心理学と精神分析療法における解釈」を読んできた。この論文の三章「計画立てと直観[Planning and Intuition]」にも興味深い点があるが*1、ひとまずここで終えて、ラカンの…

エルンスト・クリスの症例とラカンのアクティング・アウト論(2)

エルンスト・クリスの症例 エルンスト・クリスの論文「自我心理学と精神分析療法における解釈」の第二章「例証[Illustrations]」に移ろう。 ここでクリスは先に見た「深層の分析(エス分析)」と「表面の分析(防衛の分析)」の違いと、そこからえられる臨床…

エルンスト・クリスの症例とラカンのアクティング・アウト論(1)

何回かに分けて、クリスの「自我心理学と精神分析療法における解釈」と、それに対する「幻想の論理」のセミネールでのラカンの反論(1967/3/8)までを読んでいきます。 エルンスト・クリスの「表面[surface]の分析」 ラカンの精神分析理論は、当時主流となって…

「神経性食思不振症」についてのインデックス

神経性食思不振症[anorexie mentale, anorexia nervosa]とは、いわゆる拒食症のことである。この疾患の一般的概念については、Wikipediaなど参照のこと。 『エクリ』 E600-601「治療の指導」 エルンスト・クリスの「脳みそを食べる男」症例*1についてのコメ…