à la lettre

ラカン派精神分析・精神病理学に関するいろいろ

『文學界』2017年12月号に寄稿

 今週発売の『文學界』2017年12月号に、評論「健康としての狂気とは何か―ドゥルーズ試論」を書いています。ジル・ドゥルーズの『批評と臨床』に登場する「健康としての狂気」および「かもしれない(peut-être)」という概念に注目し、ルイス・キャロル、レーモン・ルーセル、ルイス・ウルフソンの病跡を「自閉症スペクトラム」という観点から論じました。
 個人的には、はじめて書いたドゥルーズ論/文芸評論ですので、これまでとは異なる読者にも届くことを願っています。よろしくおねがいします。

文學界2017年12月号
文學界2017年12月号

『STUDIO VOICE』411号に寄稿しました。

 『STUDIO VOICE』411号に、「まなざしの忘却——脱エロス化する時代に」というエッセイを寄稿しました。「ゆらぐエロ ~ALTERNATIVE EROTICISM~」という特集の一部で、特に冒頭の対談は非常に刺激的なセクシュアリティ論になっています。
STUDIO VOICE vol.411
STUDIO VOICE vol.411

『1990年代論』に寄稿

 河出書房新社から刊行される大沢聡(編)『1990年代論』に、「「ゼロ年代」の序章としての九〇年代の「心理」」を寄稿しました。『イマーゴ』、斎藤環信田さよ子を論じています。
 同書では、各ジャンルにおいて90年代とは何だったのかが個別に論じられ、また討論やインタビューでは総合的な視点から論じられており、非常に面白い読み物に仕上がっています。ぜひお手にとってみてください。

1990年代論
1990年代論

また、『臨床心理学第17巻第4号―必携保存版 臨床心理学実践ガイド』では、「フランスの精神分析」の短い紹介文を寄せています。

『発達障害の時代とラカン派精神分析』に寄稿

 晃洋書房から刊行された『発達障害の時代とラカン精神分析―“開かれ”としての自閉をめぐって』に、「ラカン精神分析における自閉症論」を寄稿しました。ラカンラカン派の自閉症論をサマリーしています。
 同書は、編者のお二人を中心に若手の総力を結集した、この問題についての現時点での決定版だと思います。ぜひお手にとってみてください。

発達障害の時代とラカン派精神分析―“開かれ”としての自閉をめぐって
発達障害の時代とラカン派精神分析―“開かれ”としての自閉をめぐって

『中動態の世界』書評

 今週土曜(5月27日)発行の『図書新聞』に、國分功一郎さんの『中動態の世界』の書評を書いています。
 6300字ほどの小論考になっており、書籍の紹介から、精神病理学と中動態、依存症と非主意主義ドゥルーズ)といった問題にも少々踏み込みました。ぜひご覧になってください。

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)
中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


 ちなみに『図書新聞』は書店のほか、全国のコンビニのマルチコピー機から購入できます。やり方は下記のサイトを御覧ください。定期購読もおすすめします。
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『文藝別冊 中井久夫』に寄稿

 先週、河出書房新社から刊行された『文藝別冊 中井久夫』に寄稿しています。

中井久夫 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)
中井久夫 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)

 中井の統合失調症寛解過程論の形成を振り返りながら、「心のうぶ毛」という彼の概念を読み直すアイデアを素描しました。
 豪華なムックになっていますので、ぜひお手にとって見てください。

『ラカニアン・レフト』&『表象』11号刊行のお知らせ

 4月20日に、岩波書店よりヤニス・スタヴラカキス『ラカニアン・レフト』の拙訳(共訳)が刊行されます。

ラカニアン・レフト――ラカン派精神分析と政治理論
ラカニアン・レフト――ラカン派精神分析と政治理論

 スタヴラカキスは、すでに『ラカンと政治的なもの』でも知られている政治学者ですが、本書ではラカンと政治理論の対話のなかから、政治理論における享楽の重要性を指摘し、さらにその享楽が反-ファンタスム的で実体的なものでなければならないことを主張しています。現代の政治状況を考えるにあたっても、重要な論考ではないかと思います。


 また、表象文化論学会の雑誌『表象』の共同討議「精神分析的人間の後で──脚立的超越性とイディオたちの革命」に参加しています。

表象11:ポスト精神分析的主体の表象
表象11:ポスト精神分析的主体の表象

 この共同討議は、特集「ポスト精神分析的主体の表象」を構成するもので、同特集にはジャック=アラン・ミレールの2014年の講演「無意識と語る身体」の翻訳も掲載されています。