「解釈」と「構成」を軸にしたジジェク流のチャート式臨床論と、ハイデガーの『技術論』を絡めて論じており、なかなか読ませます。最後はジジェクらしい下世話な小話がついていて、楽しめるかと思います。
この辺の「構成」の話のもっとハードなものは、以下のミレールの論文にあります。
Jacques-Alain Miller, Marginalia de «Constructions dans l’analyse», La lettre en ligne n° 31 - novembre 2006
解釈と構成は同質的なものに思えますが、ラカンにとっては、解釈と構成は非常に異なった二つのモードなのです。
ラカンにあっては、構成と解釈は、知[savoir]と真理[vérité]のように対立しています。構成は知の練り上げ[élaboration]であるのに対して、解釈は神託[l’oracle]の何物かを持っています。ラカンはこのようなものとしての構成についてはあまり言及しません。ラカンは構成にあまり興味を持っていませんでした。なぜなら、構成はラカンの立場では、構造と呼ばれたものだからです。構成と解釈のあいだに対称性はありません。
あるいは、構成は患者に課せられる練り上げであり、あるいは、構成はそれ自体が揺れ動く分析的装置なのです。ラカンが語る構成、それはファンタスムの構成であり、分析的操作の結果[effet]によって成し遂げられます。
Miller, Marginalia de «Constructions dans l’analyse»
また、このミレールの文献を駆使してラカン派の臨床を素描しているものとして、論集"The Later Lacan"所収のPierre-Gilles Gueguen, "Discretion of the Analyst in the Post-interpretative Era"等があげられるでしょう。
The Later Lacan: An Introduction (Suny Series in Psychoanalysis and Culture)
- 作者: Veronique Voruz,Bogdan Wolf
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この論集はロンドンのNew Lacanian Schoolが編集したもので、ミレールが4編、エリック・ローランが2編寄稿しています。「後期ラカン」といいつつ、トポロジーなどはまったく出てきませんので、比較的読みやすいかと思います。
Google Booksでも少し閲覧できます。