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à la lettre

ラカン派精神分析・精神病理学に関するいろいろ

症例シュレーバーについてのインデックス

フロイト-ユング書簡集

 『The Freud/Jung Letters The Correspondence between Sigmund Freud and C.G.Jung』より、シュレーバーに言及されている箇所を抜粋。番号は手紙に付けられた通し番号で、Fはフロイトの、Jはユングの手紙を表わしている。ドイツ語版は抜粋であってシュレーバーに言及している箇所のほとんどが削除されており、シュレーバー研究には不向き。英語版はほぼ完全版である。なお、講談社学術文庫の邦訳も抜粋のものである。

The Freud/Jung Letters: The Correspondence between Sigmund Freud and C. G. Jung

The Freud/Jung Letters: The Correspondence between Sigmund Freud and C. G. Jung

  • 作者: Sigmund Freud,William McGuire,Ralph Manheim,R. F. C. Hull
  • 出版社/メーカー: Harvard University Press
  • 発売日: 1988/04/08
  • メディア: ペーパーバック
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186J 1910/4/17 シュレーバーの基本語 奇蹟[angewundert] 頭がロバに変わる
187F 1910/4/22 「ハヴロック・エリスは私に『社会への関係における性』の第六巻を送ってきました。不幸なことに私の受容性は9年間の分析によって消費されてしまいました。しかし、休日は素晴らしきシュレーバーのために空けておこうと思います。シュレーバーは精神科の教授や精神病院の院長になるべきだった人です。」→シュレーバーはむしろ診断する側
197F 1910/6/9 隠語「基本語[Grundsprache]」ショットレンダーの話題。
204J 1910/8/6 隠語「神経接続[Nervenanhang]」ラカンは神経併合annexion-de-nerfs(E537)と訳す。
212F 1910/9/24 フロイトに対して幼児のように振舞うが実は批判的な旅行の同行者について「かりに私に同性愛者の素質があっても、彼はとうていホモ相手にはなりません。それやこれやで、今度の旅行中、本物の女性[a real woman]への憧憬がひとしお高揚しました。」つづけて「私が持っているいくらかの科学的観念はパラノイアに関する論文を形作るようにまとめられています。また結部が欠けてはいますが、神経症選択のメカニズムを説明するまであと一歩です。十月の終わりまでに完成させられるかどうか定かではありません。」
212F 1910/9/26 「仮初めに急ごしらえされたもの[fluechtig hingemacht]」
213J 1910/9/29 カシオペア座に垂下する者たち[unter der Cassiopeja Haengende]」 「私は「あなたはなぜそれを言わないのか[Warum sagen Sie's nicht?]」と言い放たれた言葉を、毎日の分析のなかで、この言葉が効果をもつと分かるところで使っています。この本は価値ある一冊です。この本は、「小さいフレックシヒ[kleiner Flechsig]」のためだけに、精神医学の図書館のすべてに名誉ある位置におかれるにふさわしいものです。」
214F 1910/10/1 当時出たパトナムの論文を読んでいたフロイト。「この作業は私のシュレーバー研究を中断させました。私はシュレーバー研究を再開します。私はシチリア島でこの本の半分すらも読めませんでしたが、秘密を見抜きました。この症例はその核となるコンプレックスに簡単に還元できます。彼の妻が医者と恋に落ちて、その医者の写真を何年間も書斎机に置いていた。シュレーバーはもちろん、女性〔妻〕の方でも不満足があり、それは子供を持つという試みが不成功であったということです。ここから葛藤が展開します。シュレーバーは、その素因と第一の病気からの転移のおかげで、フレックシヒをライバルとして嫌悪し、そして愛します。幼児期の状況がこれで完全なものになります。そしてすぐにフレックシヒの後ろにシュレーバーの父が現われます。精神医学にとって幸運なことに、この〔シュレーバーの〕父は医者なのです。私がチューリッヒにいたときに数多くのパラノイア症例に見つけた事柄がさらなる証明となります。パラノイア症者は自らの同性愛的傾斜への再備給を防ぐことが出来ないのです。このことによって、この症例を私たちの理論の線上に乗せることができます。旅行のあいだ、私はこの理論を少し肉付けすることができました。今では私はシュレーバーの病歴とパラノイアについての様々な出版物に対する私の進歩を試そうと考えています。それでも、私の当初の目標から比べれば、すべてが不完全であり、いつこれを出版することになるのか、どれくらいの期間がかかるのか検討がつかないのです。いずれにせよ、結果はシュレーバーに関する研究となるでしょうし、人々は私がこの本を念頭に置いて自分の理論を考案したと考えることでしょう。私はあなたとシュレーバーに対する情熱を共有しています。シュレーバーは一種の啓示です。私は「根源言語[Grundsprache=基本語]」を真剣な術語として導入することを計画しています。この言葉は患者の意識が(ねずみ男の症例のように)歪んだ形式でのみ経験する妄想的観念の原初的な語法なのです。さらに読み進めれば、私は興味深いファンタジーのすべてを解決できるかもしれません。最初の段階ではまったく成功しなかったのです。この男〔=シュレーバー〕はまだ生きているので、私は彼にいくつかの情報を質問して(例えば、彼がいつ結婚したのか)、そして彼の物語についての著作を許可してもらおうと考えているのです。しかしこれはおそらく危険なことでしょう。あなたはどう思いますか?」→ユングはこの問いに答えない。
215J 1910/10/20 「神経接続」によってシュレーバーを苦しめた「小さい男」(魂)とひっかけて、(小文字の)フロイトの魂によって苦しめられた”H.”。
218F 1910/10/31 「親愛なる、独創的な友人シュレーバーの分析」「父親コンプレックス:フレックシヒ-父-神-太陽は明らかにセリーを形成しています「真ん中の」フレックシヒは父のようにすでに「祝福された」、つまりその病気の時には死んでいた兄弟を指し示しています。天国の前庭、あるいは「神の前部の王国」は家族の女性たちであり、「神の後部の王国」は父とその昇華である神なのです。」「シュレーバーの父が医者であることを忘れてはなりません。そのようなものとして、彼は奇蹟を働き、奇蹟を起こしました。言い換えれば、神の愉快な特性化とシュレーバーに行われた不条理な奇蹟は、彼の父の医学的方法に対する厳しい風刺なのです。言い換えれば。夢と同じ不条理さの使い方です。パラノイアに対する同性愛の莫大な意義は中心的な脱男性化幻想等などによって立証されています。私はステグマンがわれわれのパウル・ダニエルのニュースを送ってくれることを待っています。」ステグマンがフロイトに与えた情報。SE12のindex, s.v.
221F 1910/11/25 時間があったからシュレーバー論がすすんだ。アドラーとスケーテルに言及。
223F 1910/12/3 アドラーの中に、一オクターヴ低く、フリースを想起。二人ともパラノイアだ。「私はまったくシュレーバーになってしまっています。あなたのためにミュンヘンに草稿を必ずもっていくようにします。私は草稿に満足していませんが、判断をするのは他の人たちです。それでも、2,3の点が非常に明らかになりました。私は、パラノイアについての自分の考察のいくつかの部分を、後の論文のためにとっておくことになるでしょう。」
224J 1910/12/13 ミュンヘンで見せてくれる草稿を楽しみにしている、と。
225F 1910/12/18 「私のシュレーバーが完成しました」 完成形をユングに見せる、と。「この論文は不完全で、「仮初めに急ごしらえされた」もの」「私は、初期の論文で可能であったように、この論文の客観的価値を判断することができません。なぜなら、初期の論文の作業をしていたとき、私は自分自身の(フリース)コンプレックスを撃退する必要があったからです」
243J 1911/3/19 フロイトシュレーバー論にお世辞を書くユング
254J 1911/5/8 「基本語」
259J 1911/6/12 精神分裂病では、リビードの内側への向け換えによって生産される内的世界が妄想体系としてゆがんだ形式でとつぜんあらわれる。パラノイア症者。
268F 1911/8/20 「精神機能の二原則についての定式」「シュレーバー論」の二つの論文が載ったJahrbuchを受け取った。
273F 1911/10/12 隠語「あなたはなぜそれを大きな声で言わないのか」
275J 1911/10/17 フィスターPfisterに言及。隠語「死体毒が装着された鳥」。「奇蹟の鳥」はフロイトの論によれば若い少女に結びついている。
282J 1911/11/14 「第二部で私はリビード理論の基本的議論を書きました。あなたのシュレーバー分析の一節で、あなたはリビード問題に突入しましたが(リビードの喪失=現実性の喪失)、この一節は私たちの精神の道程が交差する点です。『性理論三篇』で説明されたものとしてのリビードの概念は、私の考えでは、早発性痴呆にリビードの概念を適用可能にするための発生的要因によって補われなる必要があります。」→286Fでフロイトが返答。リビード理論を早発性痴呆に適用することには興味があるが、ユングがリビードをあらゆる種類の欲望と同一と考えていることに危惧を表明している。フロイトは、人間には二つの欲動があって、そのうち性的衝動の推進力のみがリビード。二元論対一元論。
287J 1911/12/11 リビード理論について、フロイトシュレーバー論から影響を受けた。早発性痴呆における現実機能対応の欠落は、リビードの抑圧には還元できない。記述的なリビードにかえて、発生的なリビードを。
333J 1912/12/7 隠語「奇蹟[amwundern]」