à la lettre

ラカン派精神分析・精神病理学に関するいろいろ

精神医学

「症状精神病のメタサイコロジーにむけて」抄録

来たる10月14日に,「第34回日本精神病理・精神療法学会」にて,ラカンに関連する演題を発表させていただく予定です.以下に抄録を公開します. 第34回日本精神病理・精神療法学会 パネルディスカッションIII-P-5-2(10月14日午前) 症状精神病のメタサ…

ヤスパース『ストリンドベルクとファン・ゴッホ』における「要素現象」

以前,「要素現象(phénomène élémentaire)」というラカンの用語が,実はヤスパースの『精神病理学総論』に登場する「elementares Phänomen」という用語に由来するものである,ということを紹介した.その後にパリ留学中の精神科医の知人から教えていただい…

10月に2つの学会発表を行ないます

10月7日,10月29日に,それぞれ「第33回日本精神病理・精神療法学会」「第14回精神医学史学会」にて,ラカンに関連する演題を発表させていただく予定です. 内容としましては,精神病理学会のほうでは,今年当blogで取り上げたラカンの「要素現象」につ…

『人格との関係からみたパラノイア性精神病』を読む際に注意すべきこと――signification personnelleとは何か

前回は,Lacanの学位論文『人格との関係からみたパラノイア性精神病』から『精神病』にまで出てくる「要素現象(phénomènes élémentaires)」という概念が,元来はJaspersのものであることを紹介した. Lacanの学位論文の中では,この用語は「要素的」の他に,…

phénomènes élémentairesとヤスパース

最近は,縁あって頂いた仕事上の必要から「要素現象(phénomènes élémentaires)」を研究している.これは,これまでラカンのセミネールでは「基礎的現象」として訳されてきた言葉であり,『精神病』のセミネールのはじめから頻出する用語であるので,よく目に…

Google Booksで1844〜1868年の「Allgemeine Zeitschrift für Psychiatrie」が全て読める

http://books.google.com/books?q=editions:OCLC1479160&id=6HpO_9cItBIC&hl=ja&source=gbs_book_other_versions_r&cad=2_1私の読みたかった1878年のWestphalのパラノイア論は残念ながら読めないのですが、1844〜1868年分は閲覧可、および全文PDFにてダウン…

21世紀のシュレーバー研究

精神医学の世界でもっとも古くから刊行されている雑誌の一つである『神経精神疾患ジャーナル(The Journal of Nervous and Mental Disease)』誌の2007年8月号に、「シュレーバーのうなり声の奇蹟」*1と題された論文が掲載されている。 著者グレーム・マーティ…

グリージンガーへの回帰?

DSM-V(2011年に発表が予定されている「精神障害の診断と統計の手引き」)が凄いことになっている。「精神病を脱構築する[Deconstructing Psychosis]」というDSM-V改定のための中間報告が出ており、そこでは統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害、ならびに…