à la lettre

ラカン派精神分析・精神病理学に関するいろいろ

『現代思想』2018年1月号に寄稿

 本日発売の『現代思想』2018年1月号(特集=現代思想の総展望2018)に、信田さよ子さんとの対談「斜めに横断する臨床=思想」が掲載されています。
 信田さんの来歴とアディクションアプローチ、さらにはオープンダイアローグやハームリダクションといった現代の臨床や制度、そしてそれらとハイデガーガタリとの関係について対話しました。


現代思想 2018年1月号 特集=現代思想の総展望2018
現代思想 2018年1月号 特集=現代思想の総展望2018

2017年の6冊

 現在発売中の『図書新聞』3332号の読書アンケートに今年の下半期に読んだ次の3冊を挙げています。

コレクティフーーサン・タンヌ病院におけるセミネール
コレクティフーーサン・タンヌ病院におけるセミネール
共依存の倫理―必要とされることを渇望する人びと―
共依存の倫理―必要とされることを渇望する人びと―
ハームリダクションとは何か 薬物問題に対する,あるひとつの社会的選択
ハームリダクションとは何か 薬物問題に対する,あるひとつの社会的選択

 それぞれの本についての短いコメントは、紙面を御覧ください。『図書新聞』は定期購読や電子版の購読も可能です。


www.toshoshimbun.com


 また、紹介するのを忘れておりましたが、同紙の上半期の読書アンケートには、下記の通り寄稿しました。

①千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために』(文藝春秋
②松本敏治『自閉症津軽弁を話さない』(福村出版)
金泰泳在日コリアン精神障害』(晃洋書房

『勉強の哲学』は、いっけん平易に書かれた自己啓発書のようにみえるが、そのロジックはラカン派の現代的展開と現代の哲学をミックスした非常に高度なものであり、特にその実践編である欲望年表の発想は精神分析的でもある。「ノリ」は神経症、「アイロニー」は精神病、「享楽的こだわり」は自閉症と考えれば臨床にも応用可能だろう。『自閉症津軽弁を話さない』は、しばしば感づかれていた「自閉症の子どもは方言を話さない」という印象を約10年にわたる綿密な調査で検証した労作。さっそく『勉強の哲学』の議論を応用すれば、言語に独特の「享楽的こだわり」をもつ自閉症者は、「方言」のように普遍化された「ノリ」(ベタ化された享楽的こだわり)とは縁遠いのであろう。『在日コリアン精神障害』は、ほとんど先行研究がないこの分野にあって、おそらくははじめてなされた詳細なライフヒストリー研究であり、貴重である。筆者らは現在、在日コリアン精神障害の問題に取り組んでいることもあり、非常に興味深く読んだ。

勉強の哲学 来たるべきバカのために
勉強の哲学 来たるべきバカのために
自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く
自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く
在日コリアンと精神障害―ライフヒストリーと社会環境的要因
在日コリアンと精神障害―ライフヒストリーと社会環境的要因

『文學界』2017年12月号に寄稿

 今週発売の『文學界』2017年12月号に、評論「健康としての狂気とは何か―ドゥルーズ試論」を書いています。ジル・ドゥルーズの『批評と臨床』に登場する「健康としての狂気」および「かもしれない(peut-être)」という概念に注目し、ルイス・キャロル、レーモン・ルーセル、ルイス・ウルフソンの病跡を「自閉症スペクトラム」という観点から論じました。
 個人的には、はじめて書いたドゥルーズ論/文芸評論ですので、これまでとは異なる読者にも届くことを願っています。よろしくおねがいします。

文學界2017年12月号
文學界2017年12月号

『STUDIO VOICE』411号に寄稿しました。

 『STUDIO VOICE』411号に、「まなざしの忘却——脱エロス化する時代に」というエッセイを寄稿しました。「ゆらぐエロ ~ALTERNATIVE EROTICISM~」という特集の一部で、特に冒頭の対談は非常に刺激的なセクシュアリティ論になっています。
STUDIO VOICE vol.411
STUDIO VOICE vol.411

『1990年代論』に寄稿

 河出書房新社から刊行される大沢聡(編)『1990年代論』に、「「ゼロ年代」の序章としての九〇年代の「心理」」を寄稿しました。『イマーゴ』、斎藤環信田さよ子を論じています。
 同書では、各ジャンルにおいて90年代とは何だったのかが個別に論じられ、また討論やインタビューでは総合的な視点から論じられており、非常に面白い読み物に仕上がっています。ぜひお手にとってみてください。

1990年代論
1990年代論

また、『臨床心理学第17巻第4号―必携保存版 臨床心理学実践ガイド』では、「フランスの精神分析」の短い紹介文を寄せています。

『発達障害の時代とラカン派精神分析』に寄稿

 晃洋書房から刊行された『発達障害の時代とラカン精神分析―“開かれ”としての自閉をめぐって』に、「ラカン精神分析における自閉症論」を寄稿しました。ラカンラカン派の自閉症論をサマリーしています。
 同書は、編者のお二人を中心に若手の総力を結集した、この問題についての現時点での決定版だと思います。ぜひお手にとってみてください。

発達障害の時代とラカン派精神分析―“開かれ”としての自閉をめぐって
発達障害の時代とラカン派精神分析―“開かれ”としての自閉をめぐって

『中動態の世界』書評

 今週土曜(5月27日)発行の『図書新聞』に、國分功一郎さんの『中動態の世界』の書評を書いています。
 6300字ほどの小論考になっており、書籍の紹介から、精神病理学と中動態、依存症と非主意主義ドゥルーズ)といった問題にも少々踏み込みました。ぜひご覧になってください。

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)
中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)


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